なぜ台湾人インバウンドか
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日本へのインバウンド旅客は2400万人を超え、世界中の国、地域から日本へ観光やビジネスでいらっしゃるようになりました。世界には多くの対象があるのに、なぜ台湾市場へのマーケティングをお勧めするのでしょうか。ここでは、「なぜ台湾からのインバウンドか?」の部分をご説明します。

なぜ台湾からのインバウンドが大切か

A) 台湾からのインバウンドの経済的価値

台湾人観光客は訪日者数、宿泊日数、リピート率などどれをとっても高い数字を示しています。そのため、日本の自治体や観光業者や飲食店など訪日インバウンド集客を目指される団体や企業にとってLTV(ライフタイムバリュー)が最も高い大切な市場と言えます。

B) 日本との繋がりの深さ

台湾は歴史的な背景から日本と強い繋がりがあり、世界一の親日と言われております。台湾人は、日本を外国の中でも特別の存在としてとらえ、日本の地方各地への旅も心から楽しみ、地方創生に役立っております。

C) 台湾市場でのプロモーションのしやすさ

台湾は九州程の面積に約2350万人居住しており、北部経済圏だけで人口の70%を占めているとても人口密度の高い地域です。そのため、プロモーション効率が非常によい市場といえます。さらには、台湾は中華圏の情報の発信地として認識されているため、香港など同じ中国語繁体字を利用する地域の消費者へも間接的にリーチ出来きるという特典があります。

D) 台湾人にとって日本とは

日本人目線から見て台湾市場が大切であるだけでなく、実は、台湾人にとっても日本は特別な場所です。日本は台湾人が非日常を感じることが出来る夢のような訪問先として人気があるのです。

A) 台湾インバウンドの経済的価値

どの業界でもマーケティング企画の際には、既存客や潜在顧客のCLTV(Customer Life Time Value 顧客生涯価値)分析を経て、CLTVの一番高い顧客層を探し出し、探し出した顧客層をターゲティングした製品開発やプロモーション施策を実施するという考え方は一般的かと思います。

インバウンドのCLTVは、おおよそ【訪日市場規模】x【訪日当たりの宿泊日数】x【訪日リピート】で表されます。

実は台湾市場はそれらどれをとってもトップクラス。毎年多くの台湾人が日本を訪れ、無給休暇で会社を休んでも1日でも長い滞在を計画し、子どものときは親と、成長してからは友人と、大人になって恋人と、結婚して配偶者や子供と、お爺さんお婆さんになって孫となど、ライフステージが変わっても何度も何度も日本に訪れる。それが台湾人であり、日本にとって極めて経済的価値の高い顧客層なのです。

(1) 訪日観光客の多さ

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台湾は常に訪日流入元トップ3に入っている地域で、2016年は実に417万人もの台湾人が日本を訪れました。近年さらに訪日客数が伸びており、中国、韓国などとともに、インバウンド事業で私たちが必ずターゲットとすべき市場の一つです。日本と市民レベルでの関係が極めて良好なため、政治的要素に殆ど左右されることがなく安定して訪日客が増加しているのが特徴で、日本のとっては一番大切にしたい「優良客」であると言えます。

(2) 滞在日数の長さ

JNTOの滞在日数の統計によると台湾からの訪日客は日本4日~ 13日間滞在しているケースが多い(4~6日間、7~13日間合わせて73%)です。その一方で、3日間以内の短期滞在の方は僅か4%しかおらず、地理的に近いのにも関わらず長目の日本滞在を楽しもうという方が多いようです。

これは韓国と比較すると明確です。韓国も、台湾と同じように地理的に日本に近く多くの韓国人が日本を訪れています。しかしながら、3日以内の短期旅行の割合が34%もおり、全般的に見ると滞在期間が短くなる傾向がありそうです。

​そのため、その他全ての条件が同じと仮定すると、同じように日本に地理的に近い韓国と台湾を比較した場合、台湾旅客をターゲットにしたほうが大きな経済価値を得られると言えそうです。

(3) リピート率の高さ

JNTOの調査によると台湾人訪日客の71%が2回目以上のリピート訪日客で、なんと6回以上訪日されているかたも33%もいらっしゃるというから驚きです。

これは、中国からの訪日客と比較すると明瞭です。中国からは59%もの訪日客が初めての訪日で、「今回の旅行は最初で最後の日本旅行」となるケースも多いようです。これには中間層にとっては未だに海外旅行は高額で何度も行けないという経済的な要因や、そもそも中国人にとって日本が特別に人気のある地域ではなく人気訪問先が分散していることにも原因があります。

台湾に住むとよくわかるのですが、台湾人同士の会話では「今年の海外旅行はどこの国に行く?」ではなく、「今年の日本旅行はどの地方で何をやる?」という会話が自然に行われています。日本が大好きで​リピーターがほとんどの台湾人をインバウンドのメイン・ターゲット市場にすること、これはごくあたりまえなことなのです。

​B) 日本とのつながりの深さ

(4) 親日

台湾へ訪問されたことがあるかたは誰でも親日の雰囲気を感じたのではないでしょうか。

  • ​商売とは別に日本語で話しかけてくる人々

  • 街なかに溢れる日本語看板

  • 日本料理店の数々

  • 人気の日本語専門チャネル 

  • etc. 

少し古いですが哈日族と言われる言葉が流行り、日本好きの若者が流行をリードしたこともありました。最近では懷日という言葉も使われ日本統治時代を懐かしむ動きもあります。

それらは50年にも及ぶ日本統治時代とその後の歴史のいたずらによって生まれたもの。時代の流れやブームの浮き沈みを経て、現役世代の台湾人にとって、日本は単なる国ではなく、文化の一部になっています。

(5) 地方創生

左のグラフは中国人と台湾人の日本の訪問地域を調査した結果です。

​これを見ると分布の偏りが異なることが読み取れるかと思います。オレンジの棒グラフの中国人は関東、近畿の有名な観光地に集中しているようです。一方、青の棒グラフの台湾人は訪問先が日本全国へ散らばっています。

訪日リピーターが多い台湾人は、一度目の訪日では関東や近畿の有名な観光地に行っても、二回目以降は関東や近畿だけでなく日本の地方へも確実に訪問し、日本全国でお買い物や体験を楽しんでいる。それが台湾インバウンドの特徴です。

なお、メディアでは中国インバウンドについて業者との関わりが指摘されることもあります。報道によりますと、中国大陸からのインバウンド客へは中国資本の旅行会社、中国資本の宿泊施設、中国資本のお土産屋さんなど中国の業者を多く活用した団体旅行になることもあるようです。勿論、多くの観光客が来ていただくのはよいことです。ただ、インバウンドで期待するのはやはり地元の人々が潤うこと。人は来るけど地方経済にはあまり貢献しない、そういうことは避けたいのが本心ではないでしょうか。個人客が多い台湾は、自ら情報を探して地元の観光地やお店に訪れるため、地元の人々との交流も多い傾向にあるようです。

(6) 訪日の利便性:直行便の多さ

台湾と日本の間には実に17以上の直行便があり、主要都市だけではなく、地方都市へも多くの定期便があります。日本に近い上に直行便が充実しているため、週末に休暇を少し追加するだけで、国内旅行の感覚で家族や友達と日本を楽しむことができる。それが、台湾観光客にとって日本を魅力的で特別な場所にしています。

LCCが充実しているのも特徴です。90%以上が訪日リピーターなため、もう日本への旅は慣れっこです。一度行った場所に何度も行く方もいれば、ニッチな場所に行って体験を楽しむ人もいる。台湾人にとって日本の楽しみ方は様々です。

​C) 台湾市場での​プロモーションのしやすさ

​7) 川上へのアプローチ

インバウンド責任者にとって嬉しいのは、台湾が川上へアプローチしやすいことです。

これは中国と比較すればわかりやすいかと思います。中国は13.7億人の人口がおり、ご存知のように膨大な国土面積があります。中国人観光客の増加と爆買い現象がメディアで取り上げられることがありましたが、訪日しているのは中国の全人口の0.5%に過ぎずません。また、実は中国人にとって日本が一番の人気スポットというわけでもなく、香港、マカオ、タイ、韓国に次いで5番目の人気に過ぎません。勿論、日本からすると中国人観光客の規模が大きいので、期待値は上がりますが、人口も多く、国土も広く、日本への関心が特別に高いわけでもない中国でプロモーションをするのは莫大な費用がかかってしまいます。インフルエンサーによるプロモーション費用が台湾より10倍高かったというお話も聞いたことがあります。

一方、台湾はどうでしょうか。人口は2,350万人、面積は九州程度しかございません。でも、ここからすごい力が生み出されるのです。2,350万人の人口の内、述べ62%の1,460万人もの人が海外へ出国しています。さらに驚くことに、出国の約3分の1(29%)が日本を行き先にしているのです。日本へ訪れる台湾人の数を人口全体との比率で表すと、人口の約5分の1(18%)もの台湾人が毎年日本を訪れている計算になります。これは小さい子供やお年寄りを含めた数字です。私たちのように台湾に住んでいると周りの台湾人のほとんどが毎年日本旅行の話をしているという印象を持つのも納得できます。

このように台湾では、国土が狭いだけでなく、多くの国民が海外旅行に出かけ、そのうち日本へ訪れる割合が高いため、川上へのアプローチのしやすさが抜群な市場だといえます。

台湾の川上へのアプローチ効率の例

海外旅行、訪日観光に関心のある層へのリーチ効率の高さ

  • 人口の62%が出国

  • 出国の3分の1、全人口の5分の1が訪日

地理的なカバーのしやすさ

  • 北の台北から南の高雄まで新幹線で僅か100分

  • 北部経済圏に人口の70%が集中

  • 桃園国際空港で79%、主要3空港合わせて97%の出国が集中。空港カウンターでのプロモーションが有効。

​8) 中華圏への波及

実は、台湾は中華圏への流行、文化の発信地としても知られています。

日本人が中華圏に住んでみて驚くことは、中華圏では作家や歌手が国境を超えてまさにグローバルに活躍していることです。一つの国のスターが他の国でも共通の中国語を介して情報や流行を発信し続ける、これが中華圏の特徴です。その中で、台湾は特別な地位を占めており、質の高い情報は他の中華圏から多く参考にされております。

例えば、上の絵をご参照ください。これらは台湾の3大ブロガー(全て当社の契約ブロガー)のアクセスを国別に表記したものです。勿論、台湾からのアクセスが一番多いのですが、同じ繁体字を使う香港からも10%、中国大陸からも5%のアクセスがあります。つまり、香港の消費者も大陸の消費者も、訪日旅行の際に台湾のブロガーの情報を参考にしているのです。

台湾で情報を発信すれば、同じく訪日インバウンド上位の香港の消費者へもアプローチ出来る。中華圏へのマーケティングを考えていらっしゃる場合は是非覚えておいて下さい。

​D) 台湾人にとって日本とは

今までは日本人目線で台湾人インバウンドの重要性を述べてまいりました。
それでは、台湾人から見て日本とはどのようなところなのでしょうか。

あなたにとって旅の目的は何でしょうか?人は非日常を求めて旅に出ますよね。
実は、日本は台湾人にとって普段体験することが出来ないことを身近に体験出来る夢のような場所なのです。

例えば四季。台湾は北部は亜熱帯、南部は熱帯に属しているため、四季を体験したくてもなかなか実感することが出来ません。春の花見や秋の紅葉、冬の雪は台湾人にとって憧れなのです。そんな、憧れを、たった3時間のフライトの日本に行くだけで体験できると聞いたらいかがでしょうか。台湾にとって、日本は最もコストパフォーマンス良く非現実を感じられる場所なのです。

もう一つ、あまり語られていないことがあります。それは経済力です。

日本では台湾は発展途上の地域のように思われていらっしゃる方も多いのではないかと思います。実際に台湾を訪問されるとそう感じるのは納得出来ますし、給与水準や様々な指標を見るとそうと信じることもできます。ただ、本当にそうでしょうか。

例えば客観的な指標である、一人あたりのGDPを購買力平価(=物価レベルを考慮した1人あたりのGDP)で比較してみましょう。下のグラフからおわかりのように、実は数年前から台湾は日本より上にあります。物価を加味した経済的豊かさでは台湾は日本より上にあるとも言えるのです。

実際、台湾人の経済力から見て、訪日した際に、安いと感じる製品はいくらでもあります。良く台湾人が購入するユニクロやOCT薬など台湾が日本から輸入している製品を比較すると、輸出元の日本の方が安いのは当たり前ですね。でも、実はそれ以外の製品でも、台湾より日本の方が安いものは多くあります。例えば、不動産、アパレル、日用品など。CP値(コストパフォーマンス値)という言葉が大好きな台湾人にとっては、高い品質のものを台湾より安く購入できる日本は最高のお買い物スポットであり、お買い得を求めて訪日を繰り返す人もいます。